蝶樹の浅海人奇譚

to be or not to be anywhere to be that i will be … to be going to go on with the tortoise 'Saku' and my sincere companion , If justice is human love …

あなたの身近にあるコンピュータ犯罪

 小生は記録として残しておきたいため、ブログとしては不向きな内容であるが書いてみたいと思う。


 ひと昔前、小生があるコンビニエンス・ストアを巡る一連の事件に関与したことがある。


 1990年代、どんな片田舎にあっても、夜も煌々と照明を灯らせる一画がある。その灯りに呼び寄せられるかのように若者たちは集い、片時の憩いの溜まり場として戯れ、どこかへと消えていく。


その灯りのなかでは時間買いされた人たちが、その灯りを映したかのように陽気にせっせと客対応し、まったく自然な物売りの光景である。


それがお客の見る何一つ違和感の無い小売り商態、その代表格となったコンビニエンス・ストアの姿なのだ。


そのシステムは他所ものには完璧な小売りシステムであり、まったくその構造のなすものまでも潔癖で健全であるような体裁なので、誰ひとりとしてその内部の骨幹の歪みなど微塵も感じないのである。


その店舗のなかには商略に陳列された商品が整然と約3000種類ほど陳列されている。


多品種少量な販売形態は、各店の販売管理システム、それに密接に連携された本部側コンピュータが成せる小売りの究極な店舗経営システムのモデルなわけだ。


店舗オーナーは、ロイヤリティの対価として与えられた販売管理システムとそのノウハウを信じ、健全な論理で商売繁盛を目的に店舗経営するわけである。


小生が情報工学を専攻し学業に励んでいる時代より、コンピュータとは組み込むアルゴリズムに従い正確かつ従順にその答えを出すことで人間社会の発展に寄与するものとの思いが深かった。


ある事件に巻き込まれるまではである。


確かにコンピュータが正確かつ従順に求める答えを導きだす。ただし、その答えは紛れもない『人の意志』のもと仕掛けられた悪意の方程式にも同じように正確かつ従順に答えを出すのである。


今の時代、コンピュータ・ウィルスを代表に、悪意のある人の意思において反社会的な産物がはびこり、それを防止するビジネスをも産出し、人はコンピュータ社会の裏側世界に暗澹たる影の脅威を無意識のなかで受容しつつある。


コンビニエンス・ストアをはじめ小売業に造詣の深いかたならば、「原価率」や「売価還元法」なる言葉には小売りの財務会計で普通に利用されていることはご理解頂けると思う。


税法による売価還元法が定義する原価率とは、


 原価率 = (期首棚卸原価高+当期仕入原価高)

             ÷ (当期売上高+期末棚卸売価高)


となる。コンビニエンス・ストアの場合は期間が月単位となり、3ヶ月単位で実地棚卸しが実施される。


あるコンビニエンス・ストアを運営する本部がフランチャイズ・オーナと締結した加盟店契約書が定義する原価率の式は、


 原価率 = (期首棚卸原価高+当期仕入原価高)

             ÷ (期首棚卸売価高+当期仕入売価高)


である。いかがだろうか? 上辺は同じであるが、下辺は大分趣きが異なることがご理解できるであろうか? 勘の良いかたには、この式がもたらす醜悪極まりない悪意を感じて頂けないであろうか。その契約書には、さらに次の式が定義される。


 期末棚卸原価高 = 期末棚卸売価高(=期末売価総在庫金額) × 原価率


つまり、


 当月の期首棚卸原価高 = 前月の期末棚卸原価高


なのは当然な論理である。毎月の原価率を意図する数値に操作することは、いともたやすい。


そうなのだ。この式は店舗の売上げにまったく影響しない原価率が定義されているのである。小生がなぜそんなに原価率にこだわるのか不思議に思うかたもいるに違いない。


加盟店オーナーにとって、フランチャイズ本部へのロイヤリティを支払う大事な基準となる数値なのだ。


加盟店オーナー達の皆が朴訥すぎるぐらい真面目であり、機械的に吐き出される本部側コンピュータの原価率から算定される粗利益高、それに見合った契約タイプの割合でフランチャイズ本部へロイヤリティ費を前金として徴収されるのだ。


当時の加盟店オーナー達は、口を揃えたように「いつも原価率が70%なんだよね」と内心ではその違和感には気付いているようだっだ。


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 ※長くなりましたので、次回に続きます。


 サク